第44章 新しいパパ

視線がぶつかる。

南坂海乃の胸が、何かに強く突き上げられた。

黒谷楓花――。

今回はマイバッハもいない。黒谷優もいない。いつもまとわりついてくる佐藤詩乃もいない。

そこにいるのは、楓花ひとりだけだった。

日差しに焼けた小さな頬は真っ赤で、額には汗がびっしり。唇は乾いて、少しひび割れている。

海乃を見つけた瞬間、その瞳がきらりと光った。

楓花は階段からよろよろと立ち上がり、画板を抱えたまま短い脚でこちらへ数歩駆けてきて――数メートル手前で、ぴたりと止まる。

「ま……ママ……」

楓花の声はかすれていて、泣き声が濃く混じる。汚れた小さな手が、海乃のコートの裾に伸びかけて……怖がる...

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